「ポンプコラム」カテゴリーアーカイブ

荏原製作所 エバラフレッシャー3100 制御盤 2012年製

エバラ フレッシャー3100の制御盤の説明を記載します。

制御盤型式
IBTF22.2
電源
3相 200V
出力
2.2kW×2
製造
2012年

外観

正面

制御盤本体は焼付の鋼板でしっかりした作りです。
正面より
正面
受水槽切換え方法について
受水槽切換え方法について
運転方法について
運転操作方法について
操作パネルと エラーコード一覧表
操作パネル エラーコード一覧表
操作パネルはシンプルです。

LEDによる4ケタ表示(電流値などの表示)+1ケタ表示(ポンプ号機表示)
工事中はパネルのスライドスイッチで運転不可とします。通常は運転可です。

通常時は

  • 「自動」が点灯
  • NO.1、No.2の「運転」が点滅(運転待機中)もしくは点灯(運転中)

です。
「停止」が点灯している場合は該当するポンプは運転がかかりません、「停止」が点滅の場合は故障ですので注意が必要です。
隣には異常時のエラーコード一覧が記載されています。写真は制御盤更新用のものなので、すべての方式毎のエラーコード一覧表が記載されています。

側面 背面

右側
制御盤 右側
左側
制御盤 左側
背面
制御盤 背面
インバータ冷却部
インバータ冷却フィン
銘板
制御盤 銘板

注記 制御盤取扱上のご注意
注記 制御盤取扱上のご注意

制御盤内部

手回しできるねじを外すと内部を見ることができます。
前面パネル取外し

漏電ブレーカ

漏電ブレーカ EW50AFC

インバータ

インバータ 富士電機 FRENIC-Mini
運転中はポンプの電源周波数値を40.00~60.00Hz付近の値で表示します。
ブレーカが落ちている場合はインバータに数値がでず、盤面に*E07表示(インバータ通信エラー。*はポンプの号機)として表示されます。

電源接続用の端子

電源端子台

操作電源スイッチとヒューズ

制御電源スイッチ ヒューズ

ACリアクトル

写真は2.2kw*2。高調波を抑制し力率改善を行うためにあります。
ACリアクトル

ノイズフィルター

ノイズフィルター

電源基板

FR3-POW1
EBARA FR3-POW1 電源基板
EBARA FR3-POW1 電源基板

電源基板

FR3-POW こちらは別の制御盤についていたバージョン違いの基板
電源基板 FR3-POW

CPU&液面基板

FR3-MN1
EBARA CPU&液面基板とI/O基板
EBARA FR3-MN1 CPU&液面基板

I/O基板

FR3-I/O
EBARA FR3-I/O I/O基板
EBARA FR3-I/O I/O基板

端子台

端子台
制御基板にある各種端子台。

左下のA1~A6、B9~B14端子は電動機関連の運転と故障表示用端子

右下のFG,R,Sは電源基板と接続、CV~RRは流入電磁弁関連 B1~B8は水槽水位警報関連
電磁弁用の回路を給水ポンプユニットに内蔵となっています。

右上のE11~E43までは水槽の電極関連のもの

操作表示基板

操作表示基板 裏面

制御盤配線図

制御盤配線図

給水ポンプユニットの凍結

寒い冬の朝、ポンプが止まって水がでないという問い合わせをたくさんいただきます。
大抵の場合は凍結によって何らかのエラーや不具合が発生しています。

一番多いのは圧力スイッチ(もしくは圧力センサー)の不具合。
圧力異常というエラー表示がでる場合もあります。


ポンプが運転しても、凍結してセンサーに水圧が伝わらなくなることでエラーが発生し停止します。

一度停止して、もう一度運転をかけてみましょう。時間をおいてから再度運転をかけてみます。

凍結によって圧力スイッチが破損している場合もあります。
再起動を一度おこなっても断水など不具合が発生する場合は技術者を手配し、見ていただく必要があります。

荏原製作所 エバラフレッシャー1000 制御盤 2011年製

荏原製作所の給水ポンプユニットフレッシャー1000の3.7kW用の制御盤IRLM23.7です。

上部には操作上の注意、エラーコードなどが記載されています。

背面には制御盤の型番が書いてあります。

手前下方のねじを緩めて両側の爪を浮かせながら手前に引っ張るとカバーは取外しできます。

RST端子の裏側には制御用の電圧変換トランスがあります。

制御基板の裏側には電磁接触器(春日電機:MUF-18)、その下にCT(カレントトランス:電流値測定用)があります。
特殊仕様でSSC(ソリッドステートコンタクタ)も選択できます。

操作パネルを固定している4本のねじを外し、端子から配線を引抜くと、操作表示パネル(KP521)を取り外せます。

フレッシャー1000 表示操作基板裏面

警報用のブザーがついてます。

KP521を取り外すと基板(KP520)があります。これが制御基板です。

下側には左からヒーター用電源端子、制御盤の主電源ON/OFFスイッチ、上段が警報端子、下段が水位電極端子です。

上部中央には強制運転スイッチがあります。
制御盤の故障により表面のスイッチで運転がかけられない場合はこれを強制にします。
No.1ポンプの強制運転ができます。
コネクタは圧力センサー、流量センサー、温度センサーなどが配線されます。

通常はスイッチを下向きの「通常」にセットしています。

加圧給水ポンプユニットの選び方 2009年度版

給水ポンプにはいろいろな種類がありますがここでは、中小規模マンション(3階以上)施設向けの商品をご紹介します。
最近は直結増圧給水(水道本管から受水槽を設けず直接各世帯に給水する)方式も増えてきていますが、まだまだ主流は加圧給水ポンプと思います。

加圧給水ポンプユニットの制御方式による長所と短所

加圧給水ポンプユニットにはポンプの運転制御方式の違いにより主に下記種類に分類されます。

ポンプの種類 長所 短所
定圧給水ポンプ 設置コストが安い 蛇口での水圧変化が大きい
減圧弁方式(吐出し圧力一定)
給水ポンプ
蛇口での水圧変化は比較的少なめ 減圧弁のメンテナンスが必要
インバータ制御(推定末端圧力一定)
給水ポンプ
蛇口での水圧変化が小さい
使用水量によりモータの回転数を変化させる為、電気省エネ効果がある。
設置コストが高い
インバータのメンテナンスが必要

現在は省エネ効果も高いため、「インバータ制御給水ポンプユニット」が主力です。

加圧給水ポンプユニットのメーカー別特徴

主要メーカーのポンプとその特徴です。製品はそれぞれインバータ制御給水ポンプユニットです。(50音順)

外観/メーカー名/機種名 特徴
エバラ フレッシャー3100
荏原製作所 フレッシャー3100

ノイズフィルタ、ACリアクトルを標準で装備
小水量停止時間をファジィで変え省エネ運転と最適運転回数を実現し無駄な運転とインチングを防止
圧力タンクが取外し易くメンテナンス性が良い
吸上げ運転可能
リモコンによる各種設定運転監視が可能

川本製作所 KF2
川本製作所 ポンパーKF2

高さが低い
静かな運転音
DCリアクトル サージキラー、ノイズフィルターを標準装備
圧力検出部は光センサーで無摺動構造により長期間安定した動作(PAT)
吸上げ運転可能

テラル NX-VFC
テラル NX-VFC

設置面積が小さく、狭小スペースに収めやすい。
総重量が軽く工事が容易
運転時間均一化制御機能
ラジオノイズフィルターを標準装備
樹脂製屋外カバーにより錆ない

表ではメーカー間での機能の違いを記載しましたが、標準装備でなくてもオプションで用意されている機能などもありメーカー間での差はあまりないように思います。
次にメーカー毎に数値的な違いを比較します。
製品は吸込口径50、モーター2.2kw、自動交互運転のものです。(寸法については別途メンテナンススペース・屋外カバースペースを考慮にいれることがが必要です)

メーカー名/品番 重量(kg) 奥行(mm) 幅(mm) 高さ(mm) 標準仕様
(L/min) (m)
吐出揚程設定範囲(m) 騒音値
(dB(A))
荏原製作所
50BNAMD2.2A
119 555 780 548 376L/min 20m 20〜32 56
川本製作所
KF2-50A2.2
141 535 910 520 225L/min 32m 20〜32 52~54
テラル
NX-VFC502-2.2D
97 662 560 575 300L/min 27m 18〜42 56

機能としては荏原製作所、騒音の少なさは川本製作所、小型軽量のテラルという印象があります。
工事の際は設置スペースにより制御盤の向きなども考慮する必要があります。

下記の記事もご参照ください。

給水ポンプの選び方 2009年度版
https://pump-pro.acquainc.com/2008/12/2009

給水ポンプの選び方 2014年度版
https://pump.acquainc.com/archives/2510

2012/12/4 記事変更、加筆

ポンプのエア噛みの原因を探す

ポンプを吸上げにより使用するときにエア噛みを誘発しやすいです。

水面より上に吸込み口があるポンプの設置方式を「吸上げ」といいます。
ポンプ 吸上げ 説明図

逆に水面より下にポンプの吸込み口がある設置方式を「流込み」といいます。
ポンプ 流込み 説明図

吸上げの場合のトラブルの多くは、エアーが噛んで「吸上げない」ということにつきると思います。
本来であれば施工時に十分配慮して施工計画を行い工事を実施すればよいのですが、
改修が続いたりすると、今までは問題なかったはずが、ダメになったということは多く発生しています。

  1. チャッキ弁・フート弁の不具合を確認
  2. まずは、逆流を防止している、チャッキ弁、フート弁が機能しているか?確認しましょう。
    ポンプ停止時に耳を配管に当てて水の逆流音が聞こえなければ問題ないです。
    チャッキ弁が横向きや逆さ、斜めなど、に設置されていませんか?
    この場合、「時々」落水することがあります。正しい向きに設置します。
    チャッキ弁の正しい設置方向 説明図

    フート弁などはきっちりと縦向きに取り付けます。少しでも斜めになっていると落水する可能性があります。

  3. 配管途中に鳥居配管がないか?
  4. ポンプ吸込み側 鳥居配管 説明図

    鳥居配管とよばれる経路が吸込み経路途中にあると、エアー溜まりができて吸上げ不良になることがあります。

  5. チャッキが複数ついていないか?
  6. ポンプ吸込み側にチャッキが複数ついていると吸込みにくくなり、やはり吸上げ不良となりやすいです。
    ポンプ吸込み側 複数のチャッキ弁設置は吸込み不良を起こしやすくなります
    この図の場合は一番下のフート弁以外のチャッキ弁2個は不要です。撤去します。

  7. 複雑な経路となっていないか?
  8. エルボ(曲がり)が多くないか?これも吸込みにくくなる要因です。
    極力少ないに越したことはありません。
    3個程度ならまったく問題ないですが、6個、7個とむやみやたらに多いのは問題です。
    ポンプ 吸上げ のエルボ個数が多いとエアが抜けにくくなりエア噛みを誘発します
    できる限り少なくします。

  9. 配管が下り勾配となっていないか?
  10. ポンプに向かって配管の勾配が低くなっている場合もエア溜まりができて
    吸上げ不良となります。この原因は結構多いです。厳密にレベルで当たることをお勧めします。
    ポンプ吸込み配管の勾配不良
    また異径管が接続されている場合には偏心異型管が必要です。

  11. 2台のポンプで1本の配管から吸上げしていないか?
  12. 吸込み配管を途中で分岐していると分岐側からエアを吸込むことがあります
    ポンプ吸上げ時に吸込み配管を共用するとエア噛みしやすくなります

  13. 配管の距離が適切か?

吸込み側の距離が長かったり吸上げ高さが高かったりすると、吸上げ不良となります。
また水温が高くなるほど吸上げにくくなります。

圧力タンクレス 給水ユニット

※現在メーカーが倒産したためこの商品はありません。

給水ポンプには通常「圧力タンク」というものが付いています。アキュムレーターと呼ぶこともあります。

この、圧力タンクというのは中にゴム風船が入っている様な構造になっていてます。(このゴム風船を「プラダ」といいます)
上の注入口から空気を補充しておいて、定めた圧力にしておきます。(車のタイヤと同じ感じです)

この空気圧は6ヶ月に1度の点検がメーカーから指針としてでています。

そして、ポンプが起動した時に急激に水圧が変動しないようタンク内で吸収しています。

ところがこれが曲者で、このゴムが破損するといろいろな不具合を併発します。

故障するとポンプの起動停止が頻繁になり(チャタリングといいます)、マグネットスイッチ・モーターに負担がかかり、起動停止に伴う音もうるさいです。
また、水栓での圧力変動も大きくなります。

寿命としては、3年(かなり短いですが実際にあります)〜7年ぐらいで破損する事が多く
大型の圧力タンクほど交換費用も高くなります。(下の写真のものは定価で10万くらいします)
エバラ 圧力タンク 40L

※荏原製の39Lの圧力タンクは小型の10L圧力タンクを3連並べて(写真下)使用する方式となりました。3個に分かれているのでリスクヘッジができていると言えるでしょう。
エバラ 圧力タンク 3連

ところが、そんな圧力タンクなどいらない給水ポンプがあります。

山製作所 給水ポンプユニット
これがその圧力タンクレス給水ポンプ!!
佐山製作所の商品です

圧力タンクレスによるメリットはいっぱいあります。

  • メリット
    • 圧力タンクが故障しない。(あたりまえですが重要な事です)
    • 省スペース(結構な省スペースになると思います)
    • 圧力タンクレス化に伴い、常にポンプを運転している為レスポンスが良い

  • デメリット
    • 圧力タンクレス化に伴い、常にポンプを運転している為電気代がかかる(1.6kwのもので年間1000円くらい)

  • インバーターの水冷化
  • これは荏原でもやっていますが、空冷方式だとファンの寿命により(2.5万時間くらい)ファンが故障するとすぐにインバーターも故障しますので、良さそうな方式です。

  • モーターの水冷化
  • モーターを水冷とすることで、モーター音も抑えています。

  • 省スペース
  • また、装置が縦型で省スペースに作られているので、設置場所が限られた都市部のビル・マンションなどでも有効に使えそうです。

※現在メーカーが倒産したためこの商品はありません。