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給水ポンプについては居住者が使うたびに頻繁に発停するため、ポンプの騒音トラブルとなることがあるため、設置には気を使う必要があります。
防振架台、防振継手などいろいろな対策方法がありますがその中でも騒音防止対策として効果が高いパイプサイレンサーを紹介します。
※弊社では騒音問題の解決のみの対応や質問はお請けしておりません。
ポンプ交換と同時に検討される場合はメールにてお気軽にご相談ください。
コンテンツ
ポンプ騒音問題の原因のひとつ
インバータで制御する給水ポンプユニットについては低速回転時において振動が気になることがあります。もちろん定常回転のポンプについても振動が気になることもあります。
機械の振動が躯体を伝って伝播するということも無くはないので防振架台も一定の効果がありますが、無視できない振動として配管内の水流の振動があります。水流の振動は配管全体を震わせているためポンプ本体にいくら振動対策をしても効果がありません。
この水流内の振動を抑制するためのものがパイプサイレンサーです。
例えば、ポンプのそばの地面を触って振動が無く、離れているパイプシャフトの配管を触って明らかに震えているようであれば、水流自体の振動による原因が高いと考えられます。1階だけではなく最上階のパイプシャフトでも振動が確認されます。
パイプサイレンサーの効果
パイプサイレンサーは、ポンプの圧力脈動の吸収やポンプ振動の吸収の効果があります。玉形フレキシブルジョイント(以降玉フレキ)に似ており、玉フレキとしての機能も有しています。
上記のものは荏原製作所製のパイプサイレンサーSLP型の配管内を撮影したものです。配管内に筒状のものが通っており中間地点に隙間があります。また筒状のものに穴が開いています。これらの内部に水流が通過することで、振動が共鳴し打ち消す効果があります。
荏原製作所 SLP パイプサイレンサー
荏原製作所から発売されていますパイプサイレンサーです。こちらは増圧給水ポンプなど直結給水でも使用できるように日水協品と、空調設備などで使用できる汎用品と販売されています。大きさは玉フレキと変わらない大きさです。メーカーカタログによりますと脈動周波数の音圧レベルが下記のように30dB台に下がっています。
例1:116Hz 63dB→34dB
例2:144Hz 73.5dB→32.0dB
※メーカーカタログより
引用元:荏原製作所 SLP型 パイプサイレンサ使用例1
- 用途
- 冷水循環用
- 使用ポンプ
- 125SH×22kW
- 回転数:N
- 1745min-1
- 羽根翼数:Z
- 4枚
- 脈動周波数:(N/60)*Z
- 116Hz
- 結果
- 良好
使用例2
引用元:荏原製作所 SLP型 パイプサイレンサ
- 用途
- 冷却水循環用
- 使用ポンプ
- 100SG×7.5kW
- 回転数:N
- 1440min-1
- 羽根翼数:Z
- 6枚
- 脈動周波数:(N/60)*Z
- 144Hz
- 結果
- 良好
倉敷加工 クラシキ KV-CN型 パイプサイレンサー
クラシキから発売されているパイプサイレンサーです。KV-CN型は給水用に使用できます。空調機器などに使用する一般用のKV-K(N)型もあります。通常の玉フレキをさらに外側からフランジで挟んであるような構造となっています。玉フレキと比べ大きいものとなっています。川本製作所やテラルのポンプの特別付属品として手配した場合はこのメーカーのものが付属します。下記、一例をあげましたが詳細はメーカーのカタログをご参照ください。
例1:125Hz 65dB→50dB
例2:160Hz 68dB→53dB
例3:250Hz 62dB→45dB
例4:250Hz 60Hz→28dB
※メーカーカタロググラフから目視にて数値書き出し
引用元:倉敷加工カタログ 建築設備防振シリーズ P63パイプサイレンサー実測例
実際の建物での測定例
- 物件名
- 某銀行
- 問題発生地点
- 一階フロアーでの騒音
- 振動発生地点
- 地下4階のポンプの 稼動
- 機器仕様
- 片吸込渦巻きポンプ
- 対策前
- ポンプデリバリー側にゴム製筒形継手125Hzに卓越した脈動成分が原因による騒音が発生していた。
- 対策後
- 上記継手をパイプサイレンサーに交換125Hzの成分が低減し、騒音問題は解決した。
物件名 某デパート 問題発生地点 地下1階店舗 振動発生地点 地下3階のポンプの稼動 機器仕様 冷水ポンプ 対策後 ポンプデリバリ-側及びポンプサクション側にパイプサイレンサ-を取付ける事により160Hzの成分が減少し、騒音問題は解決した。 物件名 某マンション 問題発生地点 9階パイプシャフト室 振動発生地点 地下1階のポンプの稼動 機器仕様 冷温水ポンプ 対策後 ポンプデリバリ-側にパイプサイレンサ-KVH-100Nを取付けることにより250Hzの成分が減少し、騒音問題は解決した。 物件名 某マンション 問題発生地点 17階 振動発生地点 地下1階のポンプの稼動 機器仕様 給水ポンプ 対策後 ポンプデリバリ-側にパイプサイレンサ-を取付ける事により250Hzの成分が減少し騒音問題は解決した。 引用元:倉敷加工カタログ 建築設備防振シリーズ P63
日本防振 NBサイレンサーフレキ
橋本産業株式会社様と日本防振株式会社様が営業に来訪されましたのでその時に実物を撮影させていただきました。いつもありがとうございます。
形状は荏原製作所のパイプサイレンサーと同様です。日水協品(日本水道協会認証品)仕様はありませんので増圧給水ポンプには使用できませんが、浸出性能基準適合品ですので受水槽方式などでの飲料水系統で使用することは何ら問題ありません。
浸出性能基準については下記、厚生労働省のページが参考になるかと思います。
https://www.mhlw.go.jp/kyusuidb/kyusui/std2.htm
簡単に書きますと飲料用の器具として材料が溶け出しにくく適しているということです。
カタログ記載の説明が振動に対する参考になるかと思いますので下記転載します。
~以前略~
遠心羽根車式ポンプを運転すると、ポンプケーシング水切り部で、流体の流れによる干渉によって圧力脈動が発生し配管系の振動騒音の原因となります。脈動周波数はポンプの回転数と羽根枚数の積で表されます。
この周波数と配管系統の固有振動数が一致又は接近していると、配管の一部が異常に共鳴振動し、配管支持部並びに建屋貫通接触部を通して振動騒音障害を引き起こします。
~以降略~
下記はメーカーカタログより転載いたします。グラフは当社にて目視にて拾い書き直したものです。
サイズ比較
面間(mm) | 幅(mm) | 重量(kg) | ||||
呼び径 | 荏原 日本防振 | 倉敷 | 荏原 日本防振 | 倉敷 | 荏原 日本防振 | 倉敷 |
32 | 125 | 202 | 135 | 175 | 3.0 | 15.1 |
40 | 130 | 224 | 140 | 185 | 3.5 | 16.7 |
50 | 140 | 241 | 155 | 210 | 4.0 | 20.8 |
65 | 160 | 241 | 175 | 210 | 5.5 | 21.4 |
80 | 180 | 271 | 185 | 250 | 6.0 | 34.3 |
100 | 230 | 291 | 210 | 280 | 7.5 | 42.5 |
125 | 235 | 301 | 250 | 330 | 11 | 61.5 |
150 | 270 | 326 | 280 | 400 | 14 | 92.5 |
倉敷加工のものは重量がかなり重いので支持金具でサポートしたほうが良いように思います。
まとめ
インバータ仕様の加圧給水ポンプや増圧給水ポンプに関してはパイプサイレンサーの使用を推奨しています。弊社では増圧給水ポンプのキャビネット内などスペースの余裕が無かったり配管支持サポートが取りにくいなどの状況によって、荏原製作所品を選定することが多いです。振動音で困っている場合に一定の効果があると感じています。振動が0の無音になるわけでは無いのであくまで騒音レベルが下がるということに注意を要します。またパイプサイレンサーを二重につけても効果があがることはありません。
パイプサイレンサーと機器の防振対策で抑えきれない場合は、配管支持金具や配管の躯体貫通部をすべて防振する方法が考えられますが、躯体貫通部を防振したい場合は配管を撤去し貫通部の穴を大きく広げ中空にして配管を支持するなど大掛かりな工事となり現実的ではありません。
人間の耳は音を選別して聞く指向性がありますので、気になり始めると騒音問題はなかなか解決が難しいかと思いますが、パイプサイレンサーにて多少でも軽減されると良いかと思います。
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