問題は2点ほどあります。
1点は世帯数です。自治体によって変わりますが、世帯数や階高に制限がある場合があります。
2点目は恐らく築年数・世帯数から検討しますと、高置水槽方式をとられている建物かと思います。
その場合、高置水槽方式での上階からの給水した場合は上階~下階に向かい配管が細くなっていってます。
しかし、増圧給水・加圧給水の場合は下階から給水するため、下階~上階に向かい配管を細くしなければいけません。
その為、全体の配管更新工事が必要となります。
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修理見積りに壊れていない部品も含まれていました。
給水ポンプは消耗部品の塊です。常に水に触れている部分も多く、壊れた場合は断水になる可能性も大きい為、
ある程度の経年数を経ていれば交換をお勧めいたします。
圧力タンク・圧力スイッチ・減圧弁など目視では劣化状況を確認できませんので、修理の際はいっしょに交換をお勧めしております。
技術者の考えによっては交換しなくても可と判断される場合があります。しかしながら、今は壊れていない劣化している部品が明日壊れるのか半年後に壊れるのか判断するのは難しいことです。
どうしても、交換したくない場合はその旨を相談しましょう。
給水ポンプユニットの場合はこちらのページをご参照ください。
給水ポンプユニットの耐用年数
15年以上経過した給水ポンプユニットを安く修理したい
加圧給水ポンプユニットの選び方 2009年度版
給水ポンプにはいろいろな種類がありますがここでは、中小規模マンション(3階以上)施設向けの商品をご紹介します。
最近は直結増圧給水(水道本管から受水槽を設けず直接各世帯に給水する)方式も増えてきていますが、まだまだ主流は加圧給水ポンプと思います。
加圧給水ポンプユニットの制御方式による長所と短所
加圧給水ポンプユニットにはポンプの運転制御方式の違いにより主に下記種類に分類されます。
ポンプの種類 | 長所 | 短所 |
---|---|---|
定圧給水ポンプ | 設置コストが安い | 蛇口での水圧変化が大きい |
減圧弁方式(吐出し圧力一定) 給水ポンプ |
蛇口での水圧変化は比較的少なめ | 減圧弁のメンテナンスが必要 |
インバータ制御(推定末端圧力一定) 給水ポンプ |
蛇口での水圧変化が小さい 使用水量によりモータの回転数を変化させる為、電気省エネ効果がある。 |
設置コストが高い インバータのメンテナンスが必要 |
現在は省エネ効果も高いため、「インバータ制御給水ポンプユニット」が主力です。
加圧給水ポンプユニットのメーカー別特徴
主要メーカーのポンプとその特徴です。製品はそれぞれインバータ制御給水ポンプユニットです。(50音順)
外観/メーカー名/機種名 | 特徴 |
---|---|
荏原製作所 フレッシャー3100 |
ノイズフィルタ、ACリアクトルを標準で装備 |
川本製作所 ポンパーKF2 |
高さが低い |
テラル NX-VFC |
設置面積が小さく、狭小スペースに収めやすい。 |
表ではメーカー間での機能の違いを記載しましたが、標準装備でなくてもオプションで用意されている機能などもありメーカー間での差はあまりないように思います。
次にメーカー毎に数値的な違いを比較します。
製品は吸込口径50、モーター2.2kw、自動交互運転のものです。(寸法については別途メンテナンススペース・屋外カバースペースを考慮にいれることがが必要です)
メーカー名/品番 | 重量(kg) | 奥行(mm) | 幅(mm) | 高さ(mm) | 標準仕様 (L/min) (m) |
吐出揚程設定範囲(m) | 騒音値 (dB(A)) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
荏原製作所 50BNAMD2.2A |
119 | 555 | 780 | 548 | 376L/min 20m | 20〜32 | 56 |
川本製作所 KF2-50A2.2 |
141 | 535 | 910 | 520 | 225L/min 32m | 20〜32 | 52~54 |
テラル NX-VFC502-2.2D |
97 | 662 | 560 | 575 | 300L/min 27m | 18〜42 | 56 |
機能としては荏原製作所、騒音の少なさは川本製作所、小型軽量のテラルという印象があります。
工事の際は設置スペースにより制御盤の向きなども考慮する必要があります。
下記の記事もご参照ください。
給水ポンプの選び方 2009年度版
https://pump-pro.acquainc.com/2008/12/2009
給水ポンプの選び方 2014年度版
https://pump.acquainc.com/archives/2510
2012/12/4 記事変更、加筆
ポンプのエア噛みの原因を探す
ポンプを吸上げにより使用するときにエア噛みを誘発しやすいです。
水面より上に吸込み口があるポンプの設置方式を「吸上げ」といいます。
逆に水面より下にポンプの吸込み口がある設置方式を「流込み」といいます。
吸上げの場合のトラブルの多くは、エアーが噛んで「吸上げない」ということにつきると思います。
本来であれば施工時に十分配慮して施工計画を行い工事を実施すればよいのですが、
改修が続いたりすると、今までは問題なかったはずが、ダメになったということは多く発生しています。
- チャッキ弁・フート弁の不具合を確認
- 配管途中に鳥居配管がないか?
- チャッキが複数ついていないか?
- 複雑な経路となっていないか?
- 配管が下り勾配となっていないか?
- 2台のポンプで1本の配管から吸上げしていないか?
- 配管の距離が適切か?
まずは、逆流を防止している、チャッキ弁、フート弁が機能しているか?確認しましょう。
ポンプ停止時に耳を配管に当てて水の逆流音が聞こえなければ問題ないです。
チャッキ弁が横向きや逆さ、斜めなど、に設置されていませんか?
この場合、「時々」落水することがあります。正しい向きに設置します。
フート弁などはきっちりと縦向きに取り付けます。少しでも斜めになっていると落水する可能性があります。
鳥居配管とよばれる経路が吸込み経路途中にあると、エアー溜まりができて吸上げ不良になることがあります。
ポンプ吸込み側にチャッキが複数ついていると吸込みにくくなり、やはり吸上げ不良となりやすいです。
この図の場合は一番下のフート弁以外のチャッキ弁2個は不要です。撤去します。
エルボ(曲がり)が多くないか?これも吸込みにくくなる要因です。
極力少ないに越したことはありません。
3個程度ならまったく問題ないですが、6個、7個とむやみやたらに多いのは問題です。
できる限り少なくします。
ポンプに向かって配管の勾配が低くなっている場合もエア溜まりができて
吸上げ不良となります。この原因は結構多いです。厳密にレベルで当たることをお勧めします。
また異径管が接続されている場合には偏心異型管が必要です。
吸込み配管を途中で分岐していると分岐側からエアを吸込むことがあります
吸込み側の距離が長かったり吸上げ高さが高かったりすると、吸上げ不良となります。
また水温が高くなるほど吸上げにくくなります。
圧力タンクレス 給水ユニット
※現在メーカーが倒産したためこの商品はありません。
給水ポンプには通常「圧力タンク」というものが付いています。アキュムレーターと呼ぶこともあります。
この、圧力タンクというのは中にゴム風船が入っている様な構造になっていてます。(このゴム風船を「プラダ」といいます)
上の注入口から空気を補充しておいて、定めた圧力にしておきます。(車のタイヤと同じ感じです)
この空気圧は6ヶ月に1度の点検がメーカーから指針としてでています。
そして、ポンプが起動した時に急激に水圧が変動しないようタンク内で吸収しています。
ところがこれが曲者で、このゴムが破損するといろいろな不具合を併発します。
故障するとポンプの起動停止が頻繁になり(チャタリングといいます)、マグネットスイッチ・モーターに負担がかかり、起動停止に伴う音もうるさいです。
また、水栓での圧力変動も大きくなります。
寿命としては、3年(かなり短いですが実際にあります)〜7年ぐらいで破損する事が多く
大型の圧力タンクほど交換費用も高くなります。(下の写真のものは定価で10万くらいします)
※荏原製の39Lの圧力タンクは小型の10L圧力タンクを3連並べて(写真下)使用する方式となりました。3個に分かれているのでリスクヘッジができていると言えるでしょう。
ところが、そんな圧力タンクなどいらない給水ポンプがあります。
これがその圧力タンクレス給水ポンプ!!
佐山製作所の商品です
圧力タンクレスによるメリットはいっぱいあります。
- メリット
- 圧力タンクが故障しない。(あたりまえですが重要な事です)
- 省スペース(結構な省スペースになると思います)
- 圧力タンクレス化に伴い、常にポンプを運転している為レスポンスが良い
- デメリット
- 圧力タンクレス化に伴い、常にポンプを運転している為電気代がかかる(1.6kwのもので年間1000円くらい)
- インバーターの水冷化
- モーターの水冷化
- 省スペース
これは荏原でもやっていますが、空冷方式だとファンの寿命により(2.5万時間くらい)ファンが故障するとすぐにインバーターも故障しますので、良さそうな方式です。
モーターを水冷とすることで、モーター音も抑えています。
また、装置が縦型で省スペースに作られているので、設置場所が限られた都市部のビル・マンションなどでも有効に使えそうです。
※現在メーカーが倒産したためこの商品はありません。
水中ポンプの修理は可能ですか?
質問 水中ポンプが故障した際、修理はできますか?
水中ポンプのオーバーホールは可能ですが、検討いただきたい事項があります。
水中ポンプの修理について検討事項
ポンプの取付・取外し時の手間の費用を見込む。
修理の際は、搬出時、搬入時と2度の水槽内水抜きが必要です。工場への輸送費も必要です。
修理中の予備機
修理するポンプは工場へ運びます。その後、見積り、修理など日数を要する為、仮設ポンプが必要か?検討しなければなりません。
修理費用
引き上げたポンプについては、修理の見積りをしますが、修理できない場合や高額の場合もあります。その場合でもそれまでの費用が全て無駄となります。
修理の場合 | 修理見積後にキャンセルし新品交換の場合 | 交換の場合 | |
---|---|---|---|
メリット | 新品の為、永く使用できる。 | ||
現状復帰までの時間 | 時間がかかる。 | もっとも時間がかかる | 短時間で済む |
コスト | 安価にすむ場合があるが高額になる可能性もある。 | もっとも高額である。 | 高額である。 |
コスト内容 | 取外費+工場搬送費+修理代+取付費 | 取外費+工場搬送費+修理見積り代+処分費+取付費+新規ポンプ代 | 取外費+処分費+新規ポンプ代+取付費 |
水槽内水抜き | 2回 | 2回 | 1回 |
仮設ポンプ | 長期必要 | 長期必要 | 短期必要(もしくは不要) |
回答 金額と保証を考えると高額な機種に限ります
数十万円程度のポンプの場合は、経年劣化なども踏まえ、新規ポンプの導入をお勧めしております。
水中ポンプの場合は漏電の可能性がとても高く、電動機、ケーブル共、高い密閉性が求められます。そのため密閉性のテストなども行います。
それでも「修理後にまた故障した」「分解したけど新品以上に金額がかかる」ということが懸念されます。
本体価格が百万円を超えるような水中ポンプに関しては修理の検討も可能です。