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給水ポンプユニット耐用年数

川本製作所 ポンパーGN 50GN-40×325-C2.2×2B
写真は川本製作所 ポンパーGN 50GN-40×325-C2.2×2B

 給水ポンプユニットにも寿命があります。故障したときの修理見積もりが新品よりも高くなったり、故障頻度が高くなり断水などにより居住者に迷惑がかかることがあります。車も10年ぐらい乗ったら交換、とか冷蔵庫は8年位したら交換、というのがポンプにもあります。それでは、何時ごろが換え時なのか?

給水ポンプユニットの部品名と取替え周期

 設置して最初の2年くらいは技術の進歩により故障もほとんどないでしょう。しかし、ポンプにはゴム部品など、消耗品が付いているのです。結果「故障」が発生します。目安として下記にあげるものがあります。

ポンプ部品 取替え周期一覧

給水加圧ポンプユニット(小型圧力タンク)
部位 交換周期
ユニット全体 10年
オーバーホール 4〜7年
ポンプ軸受 3年
メカニカルシール 1年
グランドパッキン 1年
電磁開閉器(マグネットスイッチ) 3年
リレー、タイマー類 3年
プリント基板 5年
逆止弁 3年
減圧弁 3年
圧力タンク 3年
圧力計・連成計 3年
圧力スイッチ 3年
圧力センサー 5年
フロースイッチ 3年
フート弁 2年

一般社団法人リビングアメニティ協会 小冊子より抜粋

(あくまで目安ですので規模や環境により上下します)

 上表のようにさまざまな部品がついているので、古いポンプに関しては、いろいろ故障が発生しても当然なのです。そこで、いつ頃が給水ポンプユニットの変え時?と申しますと、私的見解から行けば、ポンプ自体の故障の時です。ポンプは給水ポンプの心臓部でもあり、一番高額な部品でもあります。この部分に故障が起きるのは8〜12年あたりが多く、ここで変えないと、いろいろな部品の寿命が一気に来るので、修理代がかさみ、更新する時期を逃してしまいます。
 懐具合もあると思いますので、いつごろ更新する予定かをよく検討のうえ修理をするのも可能でしょう。

給水ポンプのインバータの節電

家電製品の世界ではインバータはたくさん使用されています。冷蔵庫・洗濯機・エアコン・掃除機と、何でも付いてます。
ところで、インバータとはどんなものなのでしょうか?

インバータとは・・・簡単に言うと交流電流の周波数を可変できるものです。

東日本地域では電気の周波数は50Hzというのは皆さんご存知かと思いますが、
50Hzの電気をモーターに入れると一定の速度で回転します。
しかし、水の使用量が多くても少なくても一定の回転で廻すのは電気の無駄遣いだと思いませんか?
無駄使いなんです。

そこで、水の使用量に応じて周波数を可変させ(おおよぞ40Hz〜60Hz)電気を節約しましょうということで
インバーターを使用するわけです。最大で40%の節約になります。

給水ポンプ エバラ フレッシャー310 インバータ 富士電機
これがインバーターです。富士電機製7.5Kw用。表示のところには38.09Hzとなっていますので
今は給水量が少ない事が想定できます。
写真のものは、100世帯以上のマンションなど制御に使用されているものです。

ちなみにこの機種ではこまかな操作が出来ますので冷却ファンの稼働時間も見れます。

給水ポンプ エバラ フレッシャー310 インバータ 富士電機 液晶表示 
TFAN=12985h(25000h) 冷却ファンの使用時間が12985時間で交換推奨時間が25000時間ということになっています。
冷却ファンが壊れるとインバータの故障にもつながりますので注意が必要です。
さて話はそれましたが、効果として、インバータ分のイニシャルコストは後々に回収できるのかというと
30戸程度のマンションで3〜4年でインバータ増額分を回収できると思われます。
また、ポンプの回転数制御がより精密にできるので給水圧もより安定したものとなります。

もし、インバータ無しのモデルを使用している場合はインバータ制御のものに入れ替えることをお勧めします。

実際の省エネ効果の比較についてはこちらの記事が参考になります。
給水ポンプユニットの節電、省エネ

ポンプの運転が止まらず、熱を持っていた場合

機種はエバラ フレッシャー 32BDSMD51.1Dです。
水を使用したあと、水を止めても、ポンプが止まらず、配管が熱を持つという事例です。

ブレーカーを入り切り(正確には切って入れるですね)するとひとまず停止するそうです。

ポンプが止まらずということは、止まらせるために働くセンサーのトラブルを想定します。
配管が熱をもつというのは、おそらく水を使用せず配管内に水が停滞しており
ポンプが回転しっぱなしであると水が熱をもつということだと想定しました。
基板などは電圧が常にかかっています。絶対に手を触れないようにお願いいたします。

現地での確認

  1. ポンプの吐出し側のバルブを閉める。
  2. 通常であればポンプが止まりますがやはり止まりません。これでポンプが止まればポンプは異常ないので、どこか漏水がある可能性を検討します。
    今回は止まらずなのでやはりポンプの故障。そこでバルブをまた開ける。

  3. 水栓で水を出したり止めたりして、センサーの状況を確認する。
  4. マンションで住民さんがいつ使用しているか想定できない場合は難しい方法ですが。
    水を出したり止めたりすると、圧力スイッチからカチッと音がします。
    圧力スイッチの配線をはずし、抵抗値を測ると、ポンプが起動しているときはOFFになりポンプが止まり、水圧が落ちるとONになっていました。
    まず圧力スイッチは問題なし。
    つぎに、水の流れを検知しているフローセンサー。基板上のリレー(フローセンサー用のリレー)もカチッと水が動くたびに動いて
    いるのが目視で確認できました。(本来は抵抗値などを測ると確実にOKですが状況的に測りにくい為、ひとまず異常なしと判断)
    このことによりほぼセンサーは大丈夫と確認できました。もしカチッと音がしないようであればセンサーやリレーが怪しいと想定されます。
    その際はそれぞれの抵抗値などをあたります。

  5. 停止時間設定タイマー
  6. このタイマーは水を止めてすぐにポンプが止まらないように制御しているタイマーです。
    このポンプの設定では水が止まってから1分半後にポンプが切れることになっていました。
    給水ポンプ 停止用タイマーリレー
    (写真はダイヤルを廻してしまったので0を指していますが、最初は1.5を指していました)
    このリレーの回路図を確認し、
    給水ポンプ 停止用タイマーリレー 回路図
    OFFの場合は1-9、4-12の端子がつながることが確認できました。
    リレーのソケットで配線の切れ端を使用し擬似的にOFFの回路を作りました。
    制御盤 応急処置

  7. 最後に水を出したり止めたりして動作の確認。
  8. そこで、もう一度動作を確認するとポンプが起動停止しました。

ひとまずは応急処置としてこの配線をくっつけておくとして後日
このタイマーを交換に行きます。

基板などは電圧が常にかかっています。絶対に手を触れないようにお願いいたします。

ナショナルの圧力スイッチを分解してみた

手元に古いナショナルの給水ユニットの圧力スイッチがあったので見てみましょう。
圧力スイッチで有名なのはサギノミヤ(http://www.saginomiya.co.jp)ですが今回はナショナルです。
圧力スイッチというのは

  1. 居住者が水を使用する。(蛇口を開ける)
  2. 配管内の水圧が下がる。
  3. 圧力スイッチON
  4. ポンプ起動
  5. 居住者が水を止める。(蛇口を閉める)
  6. 配管内の圧力が上がる。(ポンプが動いている為)
  7. 圧力スイッチOFF
  8. ポンプ停止
  9. 1に戻る

と簡単に書くとこんなことをしてます。(実際には停止時にタイマーやフローセンサー等を組み合わせた制御をしています。)

これがナショナル製圧力スイッチです。圧力が2.5kgf/cm2でスイッチONになって2.8kgf/cm2でスイッチOFFになります
と書いてあります。
ナショナル 圧力スイッチ
写真1

ナショナル 圧力スイッチ 裏面
写真2

これは裏面です(配管接続口)赤矢印の黒い部分(どうもゴムのようです)で圧力を検知しています。
カバーを取り外したところが次の写真

ナショナル 圧力スイッチ
写真3

「1」のバネで圧力のON/OFF設定しているようです。「2」の部分に接点が見えます。この圧力スイッチはかなり痛んでいるようで、腐食がだいぶ進んでいます。
「3」の部分を外してみました

ナショナル 圧力スイッチ
写真4

「写真2」の黒い部分が「1」を押し上げスイッチを動かしています。接点の部分を拡大したのが次の写真

ナショナル圧力スイッチ
写真5

「2」が動いて「1」と接触する事によりスイッチがONするようです。真っ黒に腐食してるのが確認できます。
この圧力スイッチは壊れていました。

経年劣化によって、圧力検知部が破損して、漏水する事があります。(この場合は吹き出るように漏水します)
漏水した場合は、漏水の応急処置ができる場合と出来ない場合があり、またポンプを動きっぱなしにしておくことでしか対処出来ないので、定期的な交換をお勧めしたい部品の一つといえます。

テラル SX-VFC インバータ交換

給水ポンプユニットのインバータが過電流トリップという表示にて停止したました。
インバータの不良と判断し交換しました。

過電流トリップとは・・・電流が通常よりも多く流れ回路が切断されたということです。

今回修理するユニットはテラルキョクトウのSX-VFC型インバータ給水ユニット7.5kwです。
テラル SX-VFC 給水ポンプ 全景
写真1

制御盤の裏にはインバータ用の冷却ファン。
テラル SX-VFC 制御盤冷却ファン
写真2

二台とも停止していました。冷却ができなくなったのも原因のひとつでしょう。
制御盤の中はこのようになっており、一番手前に給水ユニットの要の制御基板があります。
 
テラル SX-VFC 制御盤
写真3
インバータはその裏にあります。

今回は2号機のインバータですので矢印のものです。
作業は電源を落とし断水での作業となります。
電源を落とす前に、現状の設定値をメモし、それから電源を落とします
そして、早速分解作業に入りました。
 
テラル SX-VFC 制御基板 取外し
写真4
制御基板につながっているケーブル(a)を引き抜きネジ(b)を取外し基板をずらします。

その後、インバータに接続されている電源線などを取外し、取付ネジ(c)も取外しインバータを引きずり出します。
文章で書くと簡単ですが狭い場所にネジがついてますから結構大変です。

テラル SX-VFC 給水ポンプユニット インバータ 三菱:FR-T629-7.5K-31 200V 7.5kw
写真5
これが取り外したインバータです。
目視では故障の有無は確認できませんでした。
マグネットスイッチ(d)はコンデンサの放電用です。
インバータは電源が切れても常にコンデンサーに蓄電していますから、危険です。

抵抗(e)を使用して放電させる仕組みのようです。
フィルター(f)もついています。
設定スイッチ(g)でポンプの機数を選択します。
1号機=0、2号機=1、3号機=2 となります。
この端子(h)には制御用の信号線が入ります。
 
この部分の拡大が下の写真
テラル SX-VFC 給水ポンプ用 インバータ 三菱:FR-T629-7.5K-31 端子台拡大
写真6
jの端子、左から4端子分を使用します。iは設定スイッチです
このようにこのような結線となっています。
テラル SX-VFC 給水ポンプ用 インバータ 三菱:FR-T629-7.5K-31 端子台結線の様子
写真7

無事にインバータと冷却ファンの修理が完了しました。
インバータ交換の場合は断水となります。
基板などは高電圧の部品もありますので、絶対に手を触れないようにお願いいたします。

ポンプの圧力計の仕組み

実は圧力計は消耗品です。
圧力計を取り外すと0を指すはずですが、このように(写真1)外しても針の位置が変わらない圧力計を見かけます。他にも、指示値が振り切っていたり、0のまま動かなかったり、いろいろなパターンがあります。
圧力計 正面
写真1

どのように壊れているか分解してみました。メーターの後ろ側の写真2です。

圧力計 分解1
写真2

可動部分を拡大したのが次の写真

圧力計 分解2
写真3

圧力によって「1」が動き「2」の歯車が動いてメーターを動かします。「3」のゼンマイで微調整をしているのだと思います。
結局は「1」の部分が使っているうちに変形して数値がずれてしまうのでしょう。

予防策としては使わないときはゲージのコックを閉めておくと良いでしょう。使うときも、コックを全開にはせずに少しだけ開けて圧力を確認しましょう。

また、圧力変動が激しい箇所に設置している場合は、サイホン管を取り付けたり、オイル封入タイプの圧力ゲージを設置すると良いでしょう。