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減圧弁の仕組み

給水ポンプユニットの減圧弁の仕組みについて

給水ポンプの制御方式は主に3種類ありますが(加圧給水ユニット ポンプの選び方)、今回はその3種類のうち
「吐出圧一定給水ポンプ」(または減圧弁方式給水ポンプ)に使われている減圧弁の仕組みを解説します。

減圧弁とは

減圧弁とは、高い水圧のものを任意に決めた水圧に抑える弁のことです。小水量(本説明で出てくる減圧弁の場合10L/min以下の水量)の場合は設定水圧より上昇します。ちなみに故障すると、水圧があがらない、もしくは水圧があがりすぎるといった症状がでます。

最近の給水ポンプユニットの主流はインバータです

10年以上前はインバータがまだ高価であったこともあり、この減圧弁方式を採用される事が多かったのですが、最近は価格もこなれており、省エネも図れるためインバータ方式を採用することが多いです。
現行機種で減圧弁方式ポンプユニットは、荏原製作所はエバラフレッシャー1300シリーズのみです。

減圧弁の外観

今回分解するのは荏原製作所の給水ポンプユニット(1990年代)の減圧弁です。
現行機種のものは合流配管に内蔵され小型になっています。
参考:荏原製作所 給水ポンプユニットの逆止弁と減圧弁

荏原製作所 減圧弁BVS-40

エバラ フレッシャー130 減圧弁

これが減圧弁です。ポンプの吐出し側についており、細い配管が吸込み側に戻るように接続されています。

エバラ BVS-40 減圧弁
取り外した減圧弁

本体に書いてあるように矢印の方向に水が流れます。
写真左側のパイロット弁の圧力調整ナットを廻すことにより吐出し圧力を変動させる事が出来ます。

上から見るとこのようになっています。

エバラ BVS-40 吐出し側
減圧弁を上から撮った写真
 
写真左側にL−Hと書いてありますがそれぞれ、Lo、Hiの略で
その方向にナットを廻すと圧力が下がる、もしくは上がります。
この上の蓋を取ると、中の弁体が取り出せます。

エバラ BVS-40 弁体
主弁の写真

黒い部分はゴムです。
 
エバラ BVS-40 流入側
減圧弁を下から見た写真

エバラ BVS-40 減圧弁 パイロット弁の取外し
パイロット弁を取り外した写真
写真右の下側の穴から水が入り真ん中の穴から逃していきます。

エバラ BVS-40 減圧弁 パイロット弁分解
パイロット弁

ナットを廻すことによりバネの力を可変し、弁の開け閉めの圧力が変わります。
このバネはかなり固いです。

エバラ BVS-40 減圧弁 パイロット弁 調整弁
調整弁

こちらはバネ部とパッキン部になっており調整は出来ません。
こちらのバネはやわらかいです。
 

減圧弁の構造

減圧弁はどのように作動しているのでしょう。
構造を見ながらご説明します。

減圧弁 断面図 静止状態
ポンプ停止時は各々弁が閉じています。
 
減圧弁 断面図 作動状態
ポンプが起動し始め、圧力が設定圧より高くなるとパイロット弁が開き
ポンプの吸込み側に水を逃がし圧力を落とします。
また、一次側・二次側の圧力差により主弁が開き給水量を増やします。

このときの圧力差で調整弁も開閉し、主弁の開閉具合を微調整します。
 
このように、ゴム・バネなどにより微妙なあんばいで制御されています。
ゴム部だけでなく、弁体と擦れる部分の金属部も劣化し動きが渋くなる場合もあります。

5年以上経過し動作が怪しい場合は減圧弁全体の交換をお勧めします。

2012/07/09 修正加筆しました
2013/02/20 修正加筆しました

ナショナルの圧力スイッチを分解してみた

手元に古いナショナルの給水ユニットの圧力スイッチがあったので見てみましょう。
圧力スイッチで有名なのはサギノミヤ(http://www.saginomiya.co.jp)ですが今回はナショナルです。
圧力スイッチというのは

  1. 居住者が水を使用する。(蛇口を開ける)
  2. 配管内の水圧が下がる。
  3. 圧力スイッチON
  4. ポンプ起動
  5. 居住者が水を止める。(蛇口を閉める)
  6. 配管内の圧力が上がる。(ポンプが動いている為)
  7. 圧力スイッチOFF
  8. ポンプ停止
  9. 1に戻る

と簡単に書くとこんなことをしてます。(実際には停止時にタイマーやフローセンサー等を組み合わせた制御をしています。)

これがナショナル製圧力スイッチです。圧力が2.5kgf/cm2でスイッチONになって2.8kgf/cm2でスイッチOFFになります
と書いてあります。
ナショナル 圧力スイッチ
写真1

ナショナル 圧力スイッチ 裏面
写真2

これは裏面です(配管接続口)赤矢印の黒い部分(どうもゴムのようです)で圧力を検知しています。
カバーを取り外したところが次の写真

ナショナル 圧力スイッチ
写真3

「1」のバネで圧力のON/OFF設定しているようです。「2」の部分に接点が見えます。この圧力スイッチはかなり痛んでいるようで、腐食がだいぶ進んでいます。
「3」の部分を外してみました

ナショナル 圧力スイッチ
写真4

「写真2」の黒い部分が「1」を押し上げスイッチを動かしています。接点の部分を拡大したのが次の写真

ナショナル圧力スイッチ
写真5

「2」が動いて「1」と接触する事によりスイッチがONするようです。真っ黒に腐食してるのが確認できます。
この圧力スイッチは壊れていました。

経年劣化によって、圧力検知部が破損して、漏水する事があります。(この場合は吹き出るように漏水します)
漏水した場合は、漏水の応急処置ができる場合と出来ない場合があり、またポンプを動きっぱなしにしておくことでしか対処出来ないので、定期的な交換をお勧めしたい部品の一つといえます。

テラル SX-VFC インバータ交換

給水ポンプユニットのインバータが過電流トリップという表示にて停止したました。
インバータの不良と判断し交換しました。

過電流トリップとは・・・電流が通常よりも多く流れ回路が切断されたということです。

今回修理するユニットはテラルキョクトウのSX-VFC型インバータ給水ユニット7.5kwです。
テラル SX-VFC 給水ポンプ 全景
写真1

制御盤の裏にはインバータ用の冷却ファン。
テラル SX-VFC 制御盤冷却ファン
写真2

二台とも停止していました。冷却ができなくなったのも原因のひとつでしょう。
制御盤の中はこのようになっており、一番手前に給水ユニットの要の制御基板があります。
 
テラル SX-VFC 制御盤
写真3
インバータはその裏にあります。

今回は2号機のインバータですので矢印のものです。
作業は電源を落とし断水での作業となります。
電源を落とす前に、現状の設定値をメモし、それから電源を落とします
そして、早速分解作業に入りました。
 
テラル SX-VFC 制御基板 取外し
写真4
制御基板につながっているケーブル(a)を引き抜きネジ(b)を取外し基板をずらします。

その後、インバータに接続されている電源線などを取外し、取付ネジ(c)も取外しインバータを引きずり出します。
文章で書くと簡単ですが狭い場所にネジがついてますから結構大変です。

テラル SX-VFC 給水ポンプユニット インバータ 三菱:FR-T629-7.5K-31 200V 7.5kw
写真5
これが取り外したインバータです。
目視では故障の有無は確認できませんでした。
マグネットスイッチ(d)はコンデンサの放電用です。
インバータは電源が切れても常にコンデンサーに蓄電していますから、危険です。

抵抗(e)を使用して放電させる仕組みのようです。
フィルター(f)もついています。
設定スイッチ(g)でポンプの機数を選択します。
1号機=0、2号機=1、3号機=2 となります。
この端子(h)には制御用の信号線が入ります。
 
この部分の拡大が下の写真
テラル SX-VFC 給水ポンプ用 インバータ 三菱:FR-T629-7.5K-31 端子台拡大
写真6
jの端子、左から4端子分を使用します。iは設定スイッチです
このようにこのような結線となっています。
テラル SX-VFC 給水ポンプ用 インバータ 三菱:FR-T629-7.5K-31 端子台結線の様子
写真7

無事にインバータと冷却ファンの修理が完了しました。
インバータ交換の場合は断水となります。
基板などは高電圧の部品もありますので、絶対に手を触れないようにお願いいたします。

テラル LP型ラインポンプを分解しました。

ラインポンプが手に入りましたので分解しました。
ラインポンプとは、配管の途中に設置し、送水するものです
給水ポンプとはちょっと異なりますが、水を送るという意味では同じものです

テラル LP40B51.5 ラインポンプ

テラル LP ラインポンプ
これがラインポンプです。テラルキョクトウ LP型です

型式
LP40B51.5
吐出し量(L/min)
50~200
全揚程(m)
28~23

ポンプ

ケーシング(写真下側)を外した写真がこちら
テラル LP ケーシング
こちらがケーシング。
水は写真右から入り、真ん中の穴から出て、羽根車により左に送水されます

テラル LP 羽根車
こちらが羽根車
羽の真ん中より水が入り、遠心力で外側のスリットに送水されます。
洗濯機の脱水機のような感じです。

ポンプの羽は基本的に同じような形式で、圧力が必要な場合は羽を2段や3段など重ねて使用し圧力を高めます。

そして、羽を取り外すと、水を漏れなくしているメカニカルシールというものが軸に付いています
テラル LP メカニカルシール

回転しているにもかかわらず、水が漏れてこないのはこのメカニカルシールのおかげです。

セラミックとカーボンで出来ており、これ(写真右、左)がばねにより圧着され、水の膜を作り出し擦り合わさって回転しています
これが摩耗すると水が漏れてきます。漏れている原因自体はこのメカニカルシールによるものですが、たまに、ケーシングや軸本体が要因となるケースも見られます。メカニカルシールは消耗部品のひとつです

テラル LP ケーシング 羽根車 など部品
これでポンプ部は分解できました

写真左から、ケーシング、羽根車、メカニカルシール、フレームとなっています

電動機

次はモータ部分です
テラル LP モータ コイル部
モータの中はこのように配線が巻いてあります。サーマルスイッチがない場合、負荷が増えると、銅線が高熱となり、絶縁部が溶け絶縁不良、漏電となります。

テラル LP モータ ロータ ベアリング

こちらは軸と回転子。矢印部がベアリングです
ベアリングは運転時間・環境により随時劣化し、最後は固着し動かなくなります

ポンプから異音がした場合はこのベアリングからの場合が多数です。
異音がでたベアリングはもう役目を果たしていないので、早い内に交換をお勧めいたします。

オーバーホール(ベアリング交換)の場合はポンプの状況により可否の判断を致します。

見積りには、消耗品(メカニカルシール・ベアリング・パッキン)の項目が入りますが、状況により、羽が痛んでいたり、軸受けの磨耗が進行していたり、ケーシングが痛んでいたりします。
こればかりは、分解してみなくてはわかりません。
部品自体は注文して入荷してから行いますので、もし、予想外の部品が壊れている場合は改めて別の日に修理となってしまいます

その様な場合、最初の分解と次の分解と2重に工賃がかかるため、新品よりも金額が高くなってしまいます。
そのため、腐食が見られる場合は新品への交換をお勧めいたします